楽観的予測
朝早く、オートバイに乗る準備を整え、部屋のドアをロックをした。
駐車場からバックでオートバイを移動させ、エンジンを始動。
1週間ぶりに相棒の生命が蘇る瞬間、俺の心も一瞬緊張する。
再び、平常心を保ち、V-twinの脈動を聴きながら、
今日もいけると確信する。
空は、雨の日の湿気を多く含みながら、明るくなっていく。
東北道まで、ゆっくり走りながら早朝の風を感じている。
畑と住宅地、交差点の手前で友達と手を上げながら
相手の出発を見送る青年。
黄色いセンターラインを無理に追い越していくワゴン車。
県道をいつもの自分のペースで進める。
目的の街で場所の確認をして、ハザードランプを消して後ろを確認する。
雨のしずくが細かくシールドに集まる。
遊歩道から、自分のオートバイを見つめる人。
回転を抑えつつ、静かに発進した。
交差点に心地よいV-twinの音を残して直進する。
国道6号線に左折で入ると、本格的な雨に打たれた。
「たまには思いっきり打たれてみよう」となぜか冷静な心でいられた。
警察署を直進し、首都高にむかって車体を傾けた。
大きく円を描きながら上昇し、一瞬雨が止まるポイントが。
このまま、雨具を付けずに良いペースで走れば
途中から雨が上がるはずとの楽観的予測をし、アクセルを開き続けた。